🌈梅雨の重だるさをほどく、お香の力
雨の続く季節になりました。
この時期になると、
・朝から体が重たい
・しっかり寝たはずなのに疲れが抜けない
・食欲がわかない
・頭がぼんやりする
・なぜか気分まで沈みがち
そんなことはありませんか。
以前の私は、この季節になるたびに「気合いが足りないのかな」「もっと頑張らなきゃ」と思っていました。
でも漢方を学ぶようになってから、その不調にはちゃんと理由があることを知りました。
梅雨の時期、私たちの心身は想像以上に「湿気」の影響を受けているのです。
漢方では、過剰な湿気を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。
湿邪には、重い、粘る、停滞する
という特徴があります。
そのため体内に湿気が溜まると、胃腸の働きが鈍り、エネルギーをうまく作れなくなります。
すると、「何もしていないのに疲れる」「体が鉛のように重い」
という独特の不調が現れます。
漢方でいう「気」の巡りも滞りやすくなるため、気持ちまでどんよりしてしまいます。
体のだるさと心のモヤモヤが同時にやってくるのは、そのためなのです。
そんな季節に私がおすすめしたいのが、お香です。
雨の日に静かにお香に火をともす。
それだけで不思議と呼吸が深くなり、部屋の空気まで変わったように感じます。
お香の煙は湿気を逃すのです。
外の湿気は変えられなくても、自分のいる空間の心地よさは整えることができます。
また、香りには、気持ちを切り替える力があります。
梅雨の時期は湿気が多いことで空気中に香りが長くとどまるので、いつもより香りを楽しむことができるのです。
この季節にぜひ試していただきたいのが「藿香(かっこう)」が入ったお香です。
アロマテラピーでは「パチョリ」の名で親しまれている香りです。
漢方では古くから、湿気による胃腸の不調や食欲不振に用いられてきました。
藿香は「芳香化湿(ほうこうかしつ)」といって、香りの力で停滞した湿を動かす代表的な生薬として知られています。
香りは少し独特です。
土を思わせる深みがあり、墨や古木を連想させる落ち着いた香調。
華やかさよりも安心感を与えてくれる香りです。
梅雨の季節に感じる、ふわふわと落ち着かない感覚を静かに地面へ降ろしてくれるような魅力があります。
藿香には、中国に伝わるこんな逸話があるそうです。
大昔、ある村に「霍香(かくか)」という心やさしい女性がいました。
ある日、義理の姉が原因不明の嘔吐と腹痛で倒れてしまいます。
助けたい一心で山に入った霍香は、ふわりと香る草を見つけ、その草を煎じて飲ませました。
すると不思議なことに、症状はすぐにおさまり、元気を取り戻したのです。
この出来事に感謝した村人たちは、この薬草を彼女の名にちなんで「霍香」と呼び、のちに「藿香」という字があてられるようになりました。
今回ご紹介した「藿香(かっこう)」ですが、実は私たちが普段スーパーで見かける「紫蘇(大葉)」の仲間(シソ科)でもあります。
この紫蘇という名前にも、これまた面白い歴史があります。
【紫蘇の名前の由来】
後漢の時代、カニを食べすぎて食中毒を起こし、死にかけた若者たちがいました。
伝説の名医・華佗(かだ)が、薬草である「紫色の葉」を煎じて飲ませたところ、若者たちはたちまち命を取り留めました。
このことから「紫色の、食べた人を蘇らせる草」=「紫蘇」と名付けられたのです。
※紫色なので赤紫蘇てすね
どちらも「命を救った物語」を持つ、藿香と紫蘇。 お部屋では藿香のお香を焚き、食卓には紫蘇を添えて。
今年の梅雨は、この強力なシソ科の兄弟たちの力を借りて、内外からのダブルの梅雨ケアを試してみてはいかがでしょうか。

