鉄欠乏性貧血

女性を悩ませるトラブルの定番ともいえるのが貧血です。とりわけ鉄欠乏性貧血は一番多く、成人女性の半数は、貧血か貧血の傾向があるとも言われています。女性に貧血が多い原因の第一は、毎月の月経によって血液を失うことです。そのほか、野菜だけの食事など栄養のバランスが偏った食生活による鉄分の不足があります。

また、妊娠や授乳中は鉄分が通常より沢山必要になります。ほかに子宮筋腫や胃潰瘍などによる出血でも貧血が起こります。

全身に酸素を運ぶ働きをするヘモグロビンの量が少なくなるので、運ばれる酸素の量が少なくなり、酸素が不足した症状があらわれます。最もよく見られるのは、ヘモグロビンに含まれる鉄が不足して怒る鉄欠乏性貧血です。

◎鉄欠乏性貧血の症状

ヘモグロビンの役割は、肺で酸素を受け取り、身体の隅々に酸素を運搬し、いらなくなった二酸化炭素を肺に戻して身体の外に放出することです。そのため、ヘモグロビンが少ないと全身に運ばれる酸素の量が減って酸欠状態になり、体のだるさ、めまい、立ちくらみ、頭痛、肩こり、不眠など様々な症状がみられます。

◎鉄欠乏性貧血を改善する食生活

日常的な鉄分も補給が大切になります。鉄以外にもビタミンB12や葉酸なども血をつくるためには大切な成分です。バランスのとれた食生活で貧血を改善しましょう。

食品に含まれる鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は肉やお魚、貝類などに含まれます。非ヘム鉄は海藻や野菜、大豆に含まれます。どちらもビタミンCと一緒にとると、吸収しやすくなるので、ブロッコリーやピーマンなどの緑黄色野菜などを一緒に食べると良いです。

東洋医学での貧血の考え方

漢方では、血液は血(けつ)という考え方をします。血は、身体の流れる基本的な物質の一つで、血液と血液が運ぶ栄養と意味もあります。血液循環、血流により全身の組織に栄養を与えるのが、血の機能になります。

◎貧血でよく使われる漢方薬

貧血では、血を補ったり、脾や腎の機能を改善して、造血作用を高めることを考えます。

①十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)

生薬;人参、白朮、茯苓、甘草、当帰、地黄、芍薬、川キュウ、黄耆、桂枝

体質;体力が少なく、倦怠感、食欲不振の方。

②当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

生薬;当帰、芍薬、白朮、川キュウ、茯苓、沢瀉

体質;疲れやすく、足腰の冷えやすい方。

③帰脾湯(キヒトウ)

生薬;竜眼肉、黄耆、人参、酸棗仁、当帰、白朮、茯苓、遠志、木香、甘草、生姜、大棗

体質;胃腸が弱く、疲れやすく、眠りにくい方。

④四君子湯(シクンシトウ)

生薬;人参、白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗

体質;胃腸が弱く、食欲がない方。

⑤小建中湯(ショウケンチュウトウ)

生薬;膠飴、甘草、桂枝、芍薬、生姜、大棗

体質;疲れやすく、血色がすぐれず、腹痛、手足のほてり、冷えのある方。

お一人お一人の方のその時の病態・症状に合わせて、ご提案していきます。是非、ご相談下さい。