更年期は閉経の前後10年間くらいの期間をさします。卵巣機能が停止に向かっている時期です。卵巣の機能が衰えると密接に関係する甲状腺や副腎などにも影響します。これらのホルモン分泌のくずれやストレスなどでからだに不調がおきやすくなります。

更年期障害は症状が強く出る方、あまり感じない方など個人差があります。自律神経症状は顔面の紅潮、のぼせ、手足の熱感があり、急に汗が出た後、すぐに冷感を覚えるホットフラッシュや動悸、胸の圧迫感を感じる、不眠、めまい、耳鳴り、血圧の変動や不安症状、気分が低下して何もやりたくない等現れます。神経過敏になり、興奮したり、ヒステリック、忘れっぽい、憂うつ、集中できない、ひどく疲れやすく物事がおっくうになるなどがあります。

漢方ではこれらの多彩な症状を分類して気や血(ケツ)、水(スイ)の停滞や不足による程度により薬方を選んでいきます。

  1. 気と血が共に衰える
    めまい、耳鳴り、倦怠感、顔色が悪い。
  2. 血の不足が著しくなり水の代謝も低下
    足腰の冷え、むくみ、頭重感、動悸、疲れやすい。
  3. 気のうっ滞と血の衰え
    イライラ、肩こり、動悸、不眠、灼熱感と悪寒が交互にくる。
  4. 血のうっ滞(オケツ)
    骨盤内下腹部に静脈性の血液停滞により色々な症状が引き起こされます。冷えのぼせがあり、頭痛、肩こり、顔色や唇の色はくすんでいる。便秘傾向。また、下腹部は冷えるのに手がほてって気持ちが悪い。

        ◎症例1 48歳

        痩せ型タイプ。1年前から月経不順になりイライラ、めまい、天気の悪い時は頭がうっとしい感じがする。手足の抹消が冷えやすい。いつもは感じないのに同上司に何か言われると気分が落ち込みやすく、涙もろくなる。

        自律神経のバランスをとる漢方薬を服用する。

        3週間後 気分の落ち込みは改善されてきたがイライラする事がまだあるようでした。イライラは気の滞りと考えます。薄荷が入って気の発散を促す処方に変えました。

        3週間後 生理周期が以前と同じに戻ってきました。イライラ度は少なくなっています。

        ◎症例2 52歳

        中肉中背タイプ。最近生理周期が乱れ始めている。
        この数ヶ月生理がくるとなかなか出血が止まらないとご相談にご来店されました。
        出血の度合いは少なくだらだらとした感じで2週間くらい続く様です。足は冷えるが上半身や手はいつも温かい。

        この方には漢方薬Aを服用頂きすぐに出血が止まったので継続して服用して頂きました。

        3ヶ月くらい経った日、何となくイライラ、怒り易い様になっているというので漢方薬Bに切り替えて服用いただくとまた、すぐに気分はおさまった様でした。

        基本的には漢方薬Aの方なので、常時はこちらの処方を服用していますと生理のだらだらとした出血はな過ごせています。数ヶ月に1度の割合でイライラする時は漢方薬Bに切れ変えて服用する。

        更年期の特有のホットフラッッシュもつらくなく閉経を迎えました。