婦人科では良く使われる薬方の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)はお酒で服用
当帰芍薬散は原典(傷寒金匱要略しょうかんきんきようりゃく)には生薬をそのまま挽いて散剤にして少量のお酒で服用する様に記載されています。お酒は穀物から作られますから味は甘温で陽気を発散して血行を促す作用があります。お酒で服用して薬効を身体のすみずみまで行きわたらせる役目になります。ただ、さ湯で服用するのとは違います。
当帰芍薬散の方は普段から顔色が悪く疲れやすい、めまいや動悸がを起こしやすい人です。肥満体で痩せたいという人の中にはよく見られるタイプです。冷えによって症状がでやすい、小水の出が多い人または少ない人、便が緩くなり易い人、便秘っぽくても下剤を飲むと調子が悪くなる。また、普段は便秘っぽくなっていても生理になると下痢または便が軟らかめになる。頭に何か被ったような症状やめまいを起こしやすいなど。
上記の症状がある方の生理痛や生理不順、ニキビ、膀胱炎を繰り返す、妊娠中の腹痛、妊娠中毒症、蛋白尿に効果があります。
当帰芍薬散は散剤が基本です。エキス剤や錠剤、煎じ薬のタイプで効果がなかった方に原典どおりに散剤を少量のお酒をお湯の中に入れていただいて服用すると効果がある場合があります。甘酒を少し一緒に服用するのも良いかもしれません。
他にも八味地黄丸、白朮散、当帰散などもお酒を用いて服用するとされています。
症例1 20代の女性
主訴は手荒れがひどい。割れて血が出る事もある。
体格は普通、色白タイプ。便通は1日1回、便秘はしない。足が冷える、特に脛から下の方。冬は必ず靴下をはいて寝る。生理は順調、生理痛は生理の3日前から出血が始まって2日目まで鎮痛剤を服用している。後頭部に頭痛がある。汗はかきやすい、クーラーには弱く、下痢しやすい。低血圧。喉が渇きやすい。冷たい物より温かい飲み物が好き。
この方は皮膚科など色々試したが良くなかったと話していました。散剤を少量のお酒で2週間服用されて指の関節あたりが曲がりやすくなり手荒れが良くなっているのが実感できると喜んでいました。