妊活には男性の力も十分に必要です。精子は陰嚢の中で作られます。成熟には10日位かかります。体温より温度が低い方が精子生産には良いので体の外側にあります。精子は精管の中に蓄えられます。その間、精子は二酸化炭素を放出して自分を仮死状態にして眠らせてしまいます。射精の直前に前立腺や精嚢から活力と膣内の酸性環境を和らげる物質も一緒に分泌されます。
この大切な任務を背負った精子くんにはエネルギー源となる果糖がいっぱい詰まっています。人間の体で甘い糖の果糖を生産するのはこの目的だけです。
第一難関は受精地までの遠さです。精子の尾をムチのように振りながら、1分間に1.2cmというスピードで頑張って泳いでいきます。卵管上部まで30cmもの距離があります。更に守りが堅い子宮頸管が待っています。繊維細胞が密集しているので泳いでくる何百万の精子はそこにひっかかってしまいます。
何とか生き延びて子宮に到達した精子は左右の卵巣につづく道のどちらかを選ばなくてはなりません。成熟した卵子が待ち受けているのは片方の卵巣だからです。
正しい道を選んでも安心できません。卵管の繊毛と筋肉が下方へ送る方向に動いています。それを上っていこうとする精子を妨害します。卵管にはごみ掃除屋の白血球が目を光らせていて精子に襲い掛かります。最終的に卵に出会えるのは50万分の一以下です。さらに卵膜に結合できるのは一握りです。
まだまだ、最後の選抜が待っています。最初の精子が卵膜を突き破り卵の結合すると速やかに幕は電荷させてそのほかの競争相手の精子を振り落とします。
合体した卵子と精子は保護されますが締め出された精子は数日間卵の周りをさまよい続けます。
こうして受精卵が成立します。