漢方

東洋医学では、『医食同源』と言う言葉があります。
医(漢方治療)と食(食養生)は、源(基本)は、同じであるという意味です。
医は3分、食は7分と言われています。食養生も大切になってきます。
漢方薬と普段の生活(養生)も用いて、より健全で楽しい日々を送っていきたいと思います。

不安障害・パニック障害

不安障害・パニック障害と漢方

パニック発作は、「気の上衝」により起こります。

「気の上衝」とは、気の循環が乱れ、下降しなければならなかった気が逆流し上昇してしまう状態のことです。「気の上衝」の主な症状としては頭痛、めまい、動悸、激しい咳、呼吸困難、吐気や嘔吐、ゲップなどが挙げられます。

「気の上衝」の改善には桂枝(けいし)を含んだ漢方薬が主にもちいられます。この桂枝とはクスノキ科のケイ、「シナモンの木」の枝をもちいた生薬です。
具体的にもちいられる漢方薬としては苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、連珠飲(れんじゅいん)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などがあります。

不安障害・パニック障害の症状

突然、動悸やめまい、吐き気といった発作が起こり、生活に支障が出る状態をパニック障害といいます。

自分ではコントロールできないので、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、徐々に発作が起きやすくなります。

パニック障害は、パニック発作から始まります。

パニック発作⇒予期不安、広場恐怖が現れたりします。

予期不安=また、発作が起きたらどうしようと不安になることです。

広場恐怖=発作を起こした場所や逃げられない場所を恐れて「予期不安」が起こる発作です。電車、エレベーターなど閉ざされた空間に不安を感じることが多いです。

不安障害・パニック障害について考えること

  1. 不安とは、パニック発作もですが、身体の健康な反応なのです。

    不安の役目は、私たちを守ることだからです。
    初めてパニック発作が起きた時の原因は、心の声に耳を傾けてないでいるお知らせです。肉体的・精神的にシグナル(体調の不慮)を出して、良くない影響を与えられていることから、変化をしようというサインです。
    肉体的シグナル=胃腸の不調、視力が突然落ちる、皮膚炎、無意識の筋肉の痙攣(チック)、絶えず尿意を催すなど。
    精神的シグナル=記憶力や集中力が突然落ちる、やる気がなくなる、無力感、わけもなく悲しくなるなど。
  2. 心の声

    心からくる身体の不調は、無意識が意識に対して出す警告にすぎないことが多いです。
    本当はどこも悪くないのに、無意識がどうやって本物の病的な症状を作り出すのか…。それは、ある特定の行動や考え方を変えるように、心が注意を呼び掛けてくれているのです。
  3. 心の声と理性

    多くの場合、パニック発作は無意識の思いやりの表れになります。これは、病気になってしまうようなひどい境遇を変えようとしないことが原因になります。理性では続けていくべきだと思っていますが、心の声は変えていくことを願っています。
  4. 不安を引き起こす外的なもの

    不安を引き起こす原因には、外的なものが多くあります。ある種のドラッグや薬、家族や労働環境など…。
    何かを変えることに不安はつきものです。ですが、心の声に正直になることから始まります。
    大切なことは、不安から逃れることではなく、好きな仕事や人々と関りをもつことだと思います。

女性に良く現れる症候群

  • スーパー・ウーマン・シンドローム
    仕事も家庭も趣味にいたるまで完璧にこなそうとし、ついには精神的にも身体的にも限界に達してダウンしてしまいます。自分を押し殺して、必要以上に周囲の期待にこたえようとする「がんばる女性」に多く見られます。
  • テクノストレス症候群
    コンピュータを長期間使用して仕事をする人がなりやすい。疲れ目、めまい、頭痛、吐き気などの身体的な症状と不安とイライラなどの精神的な症状もおきてきます。
  • 燃えつき症候群
    希望に燃え、熱心に仕事に取り組んできた人が、知らず知らずのうちに心理的プレッシャーを受け、心身ともに疲れきって あたかも燃えつきたような状態になります。気持ちがひどく落ち込む、感受性が低下する、自信が持てなくなるといった精神的な症状のほか、不眠やめまい、頭痛などの身体的な症状が現れます。
  • 子育て困難症候群
    生まれた子どもに関心がいだけず、育てる意欲もわきません。そのため、うつ状態になったり、子どもに暴力をふるいます。こうした背景には、女性の多様化があると考えられます。母親になることは選択肢の一つにすぎないと思えるため、時間と労力、忍耐力を必要とする子育てに大きなストレスを感じる様になります
  • 空の巣症候群
    子どもが就職や結婚などで独立したあと、母親が空っぽの巣に取り残されたような気持ちになることを言います。それまで一手に子育てをになっていたため、さびしさやむなしさを強く感じ、うつ状態におちいります。更年期のホルモン分泌の変化や夫との信頼関係の希薄さなども影響すると考えられます。
  • 夫在宅ストレス症候群
    夫の定年退職後、妻側に現れる一連のストレス症状をいいます。それまで自分のペースで家庭生活を営んでいた妻は、夫の在宅により生活のリズムが乱され、強いストレスを感じます。肩こり、頭痛やイライラ感、不眠などの身体症状が現れます。これまでの夫婦関係が大きく左右します。

「こころのケアは漢方で」

何となく自律神経のバランスに違和感を感じたら 早めに対策をしていきましょう。

東洋医学では2千年以上前から人間のこころと体は別々ではなく一体と思っています。怒り、喜び、悲しみ、憂い、恐れなどの感情過剰により引き起こされる病状が書かれています。激しい感情の持続は心身症のような病気を引き起こします。ファーストチョイスには漢方薬が一番です。身体に無理なくバランスを整えましょう。

心の専門科で良く出されるお薬

  • 抗不安薬(マイナー・トランキライザー):
     不安や焦燥感を抑え、精神的・身体的な緊張をやわらげます。うつ病、神経症、心身症のほか、不安症状の強くでる精神疾患に広くつかわれています。
  • 抗うつ薬:
     落ち込んだ気分を軽くして、やる気を高める作用があります。うつ病、躁うつ病をはじめ、不安神経症や強迫神経症、摂食障害などにも用いられます。
  • 睡眠薬:
     鎮静・催眠作用があり、睡眠障害や不眠を伴う精神疾患に広く用いられます。不眠のタイプによって、効果の持続時間が異なる薬を使い分けます。
  • 副作用として口の渇きや便秘、眠気、集中力の低下、だるさ、口の苦味など現れる事があります。

漢方薬でよく使われる処方

  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  • 抑肝散(よっかんさん)
  • 帰脾湯(きひとう)
  • 加味帰脾湯(かみきひとう)
  • 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
  • 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
  • 桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
  • 四逆散(しぎゃくさん)
  • 逍遥散(しょうようさん)
  • 半夏厚朴湯さいこけいしかんきょうとう)
  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
  • 温胆湯(うんたんとう)
  • 苓桂ジュツ甘湯(れいけいじゅつかんとう)
  • 連珠飲(れんじゅいん)
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
  • 女神散(にょしんさん)
    など。